お医者さんには「最近はあなた位の年齢の出産は全く珍しくない。」と言われていましたが、いわゆる高齢出産。しかも臨月に血圧が急上昇し「陣痛で血圧が高くなれば帝王切開に切り替える」と宣言された上での出産でした。
それでも無事血圧は許容範囲で経過し、9時間ちょい(陣痛来てからは7時間ちょい)の安産でひなたさんが誕生しました。
私の出産体験
その時がきた ー静かな始まりー
39週2日検診に行った日。就寝中なにかがどろっと出て目醒めました。
何今の。
時計を確認すると午前3時前。
すぐに御手洗へ。さらさらした水でショーツが汚れています。
あ、これは。
ナプキンを当ててお布団へ戻りました。(このショーツを産院に持っていくべきだった💦出血していると羊水を確認する薬の反応が見にくいみたいです。)
高位破水は気付きにくいといいますが、なんとなく破水なんやろうなーとわかりました。
この日検診で血圧が高くなってしまい、予定日より早く入院になるかもしれないと言われていたので、ひなたさん(赤ちゃん)が気を使ってくれたのかもしれません。
当時私は別居婚のため一人暮らし中。
車で約2時間の所に住む母に電話で連絡し、すぐ向かってもらうことになりました。病院に報告すると、朝まで自宅待機とのこと。
次に車で2時間半のところに住む旦那にラインで連絡。実は予定日数日前に色々あり、旦那は頼らない認定をしていた私。産むのは私や!私の子や!!と腹をくくっていました。よって、一応の報告のみ。
ここまで横になって作業。寝転んでいれば水が出てる感覚はありません。
母が来た時のために家のドアチェーンを外しに起き上がると、ジョロっと出てくる。確認すると軽く出血もあり。寝ておこうと思うけど、興奮して寝れない。痛みは全くありません。
朝5時頃、母到着。
この時、どうしてもやりたい事がありました。それはシャンプー。
前日疲れて髪洗わずに寝ちゃったんです。こんな時に限って…
脱衣所で横になったままシャンプーをしてもらい、ベットで横になりながらご飯を食べる。母にはお世話になりっぱなしです。それにしてもなんか不思議な感じでした。これから産むのかーとぼんやり思います。
陣痛らしきものはまだなく、ごくごく軽い生理痛のような感じがあるかな?くらい。
今日で自分のペースでひとりのんびり出来るのも終わりなのか…と寂しくもありました。
さあ出陣ー冷静に淡々とー
朝、世間は通勤時間帯。
出血量が増えてきました。病院へ連絡すると、すぐ来るようにとのこと。
入院セットを持って、病院へ向かいます。
これから、人生で初めての痛い経験をする私。でも他の人にとったら普通の1日。やっぱりへんな感じはするけど、怖さもなく不思議と落ち着いています。
病院に到着してすぐ、看護師さんの内診がありました。子宮口の開きは「2センチくらい」。破水の検査をしてもらいましたが、血液で色の反応が出にくいらしく多分そうやろうと思うけど確定できないとのこと。
到着から1時間後にやっと先生の診察があり、子宮口3センチ。
「前日の検診での血圧高め、破水、蛋白尿+、正産期なので促進剤使って陣痛をどんどん促しましょう。血圧が上がってしまえば帝王切開に切り替えます。」と言われて、刺激の為に中をグリグリ。よく痛いと言われるけど、案外大丈夫でした。促進剤と抗生剤開始。まだ軽い生理痛位の痛みですが、この辺りからさらに出血量が増えます。(出血量は多めだったらしく産後貧血になりました。)
陣痛開始ー恐怖を煽る!お隣妊婦さんの絶叫を聴きながらー
促進剤開始から1時間半後。ちょっと強めの生理痛くらいになってきました。陣痛室で1人横になっているのも暇だし、まだ余裕もあるので、他の妊婦さんがやってたみたいにアプリで陣痛間隔を測ってみることにしました。
ところがすでに1〜3分間隔で陣痛がきています。痛みの持続時間は4、50秒。
間隔が短いので、アプリには「いよいよです!もうすぐ赤ちゃんに会えますよ!」みたいな表示が出てきました。
んなバカな。
早々にアプリを閉じました。
促進剤を使った出産だったため、この時から最後まで同じくらいの間隔と持続時間で陣痛が続きます。休む間なく襲ってくる陣痛は、本当にキツかった…
なんか、思ってたのと違う!!
ここまでスルーしてましたが産院には2つの陣痛室があり、お隣の部屋から大絶叫&壁を殴る蹴る音が聞こえていました。
「痛い、痛い!マジ無理!なんなん!なんでこんな痛いの!無理ー!!」
お隣さんに比べたら、私の今の痛みは無いに等しい。これ、どこまで痛くなるの⁈と恐ろしくなるような絶叫。
そうこうしているうちに、痛みは少しづつup 。
けど、叫ぶほどじゃないし、きっと隣と比べたら多分まだまだまだ×100
助産師さんにお隣の人すごく辛そうですね…と伝えると「大丈夫。(ヒナママは)あんな風にはならんよ。」と励まされました。確かにそんな気もする。
でもどこまで痛くなるのか…恐怖。
本格的な陣痛へー三種の痛みと共にー
促進剤開始から3時間
腰の抜けるような痛さと下腹部痛でじっと耐える感じになってきました。
でも陣痛のきてない1,2分はウトウトもする。
このウトウト、リラックス出来てる証拠でいい事らしいです。子宮口の開きも進むのだとか。
お昼ご飯が運ばれてきました。楽しみにしていた病院の食事。味わいたい気持ちと、痛みで食事を中断せざるを得ない葛藤。座ってひとりでモソモソ、時々グッと痛みをこらえながら時間をかけて食べました。
朝のライン以来全然登場していない旦那ですが、帝王切開になるかもしれない状況だったので逐一報告のラインを送っていました。仕事が抜けられるのは夕方とのこと。私は別にいいけど、リスクある状態で駆けつけられない状況に多くのママは不安に思うやろうなぁ。日本の会社ってまだ未熟やななどと考えていました。まだまだ余裕あり。
促進剤開始から4時間
呼吸を整えるのが難しいくらいの痛さになってきました。毎回ではないけど痛いときは結構いたい。再度、先生の内診。6センチ。「うん、進んでるよ。血圧も大丈夫そうやからこのまま産もう!今晩には産まれるよ。」
こ、今晩…。
そうか、まだまだなんだ。
お隣ではお産中。
「もう無理!!痛い痛い痛い!!」
「痛いけど、赤ちゃんに会える痛みやからね!頑張って。」
「何でこんな痛いの!もう嫌、痛いー!ぎゃー!!」
「………」
「出たよー!」
というやり取りが聞こえてきます。
お隣さん、産み終わってよかったね!
ただ私も痛みの間がないので、疲れてきた。しかもお隣さんがまさに分娩中のため看護師さん達も来てくれず、ひとりで耐えていたこの頃がいちばん怖かった。先生は間隔が短すぎるので促進剤減らしてもいいよと言ってくれましたが、看護士さん判断で減らしてもらえず。
休みなく耐えたぜ、こんちくしょう。
出血が多いので定期的に御手洗行かせてもらうけど、しゃがみ込んで痛みを逃す。陣痛中の数十秒は動けない…でも痛くない時はスタスタ歩けるのがまた面白い。
促進剤開始から6時間
この頃から恐怖は消えました。ただ痛みに耐え、呼吸を続ける事に必死。集中していたと思います。母が陣痛室に来て付き添ってくれていました。痛みのせいかすごく暑いのに、うちわで扇いでもらうと寒い。何かを握らないと逃せない程の痛みになり、シーツやタオルを握っていました。タオルは私の分娩中必須アイテムでした。
痛みを和らげようと助産師さんが気を効かせて、ホットパックをお腹や腰に当ててくれるけど、全く効かない!むしろいらない!!こんな時でも他所様には気を遣って言い出せなかったんですけどね。笑
これまで陣痛中5回ほど呼吸をすれば痛みの波が逃せていたのですが、この辺りから1、2回目は呼吸法を実践出来るけど3回目からどうしても無理な感じになりました。
1回の陣痛の波の間に、子宮が絞られるような収縮痛、腰骨が左右に広がるようなミシミシした痛み、妊娠中に感じた何倍もお腹が張る感じの痛みの3種類が混在していることに気付きます。張る痛みの時はどうしてもいきんでしまい、息を吐くことが上手くいかない。
この痛みが来たことを伝えると、助産師さんがお尻押さえてくれて、「赤ちゃん押してきてるね。ちょっとみてみよう。うん、子宮口はほぼ全開。少し硬さは残ってるけど分娩室に行っておこう」と、分娩室へ移動する事になりました。
さてここでちょっとブレイク。
陣痛に耐える時、妊婦さんによって2タイプがあると思うんです。 旦那さんなど身近な人に励まされる方が頑張れる人、そして一人で集中したい人。私は後者でした。もちろんプロ(看護師さん)の補助はすっごく頼もしくてよかったです。でも他の人のアドバイスやフォローは、やめて!わかっとる!!と本気でキレてしまいました。たくさん見てきた出産レポの暴言は、吐かれるべくして吐いたものだとわかりました。笑
いよいよ分娩室へーいやいやこれ、裂けるやつ!覚悟を決めてー
促進剤開始から7時間。
何度もしゃがみこみながら、何とか分娩室へ歩いて移動。
ここから、助産師さんが一人ずっと付き添って腰をさすったりお尻押してくれました。この助産師さんの押さえるポイントがまさにツボで、すごく楽でした。既に子宮口は全開なので、息みたくなったらいきんでもいいと言われました。んうあ!みたいな声勝手に出ます。声は出した方が楽なんやな…なるほどお隣さんっ!とか冷静に考えてる自分もいます。
息むポイントを何回か指導されました。
声出さないとか、息を出来るだけ長く止めてとか。
だんだん陣痛の3種類の痛みから、別の痛みが出てきました。今いちばん痛いのはおまただと気付きます。
いや、これ以上力入れたら裂けるから!とわかる。だから、多分敢えて防御反応。いきみ方は解ってても力を入れきれない。
「この人、口が小さいんやなー。まだまだかかるわ。ご飯行ってきて」とかスタッフさんは入れ替わり立ちかわり。
会陰切開したらスパっと生まれる気がしてしょうがない。でも先生不在。
腹をくくります。裂ける怖さよりも陣痛をはやく終わらせたい気持ちが勝り、強く息むと決意する。
ふんっっ。
おまた痛い!挟まった感。
「あらあら、急に進んだね!」
ええ、進めました!
バタバタと準備が進む。
人が集まってくる。
先生来てないし、切れたのわかるけどもうええ。挟まってるの痛いし。
ここで、仕事を少し早めに切り上げた立会い予定のない旦那が分娩室に入ってきました。
え?来たの⁈大丈夫⁈旦那血を見て倒れない⁈
と思ったもののまた次の陣痛の波が来た!
息む。
「あ、出た!」咄嗟に助産師さん押さえる。
「もう力抜いてー!息してー!」と言われる。でもまだ陣痛あるし、押さえられててスッキリしない。
先生到着。
「外傷あります」
でしょうねー!
ぬるんと産まれ産声を上げる。
ひなたさん誕生です。
カンガルーケアでお腹の上に乗せてくれました。
感動?
ないです。
終わったーって感じ。
陣痛がなくなったことにほっとしました。
さて、ここでひとつ大事な事を。
赤ちゃんのアタマが出たら力を抜いてーって言われますが、理由をご存知ですか?
息むと、勢いで赤ちゃんの肩でお股が裂けるからだそうです。
これ、事前に知ってるのと知らんのでは大違い。もう出るって時に心構え出来ますもん。
私はちょっといきんでしまったので、あとでえらいめにあいました…
産まれた。そして始まった。
出産を控えた妊婦さんに伝えたいのは、めちゃ痛い!でも必ず終わるって事です。
陣痛中は時間もあっという間に感じ、終わると達成感すごいです。
陣痛の痛みを例えると、カナヅチで腰を殴られるようなとかダンプカーに轢かれるようなとか色々な表現がされますが、私はどれにも当てはまりませんでした。とにかく痛みの種類は3種類。それが一回の波の間に混在してくる感じでした。
人によっては陣痛の痛みの方がつらいようですが、私は赤ちゃんが出てくる、鼻からスイカの類の痛みの方がキツかったです。
とにもかくにも、ひなたさん貴重な経験をありがとう。一緒に頑張ってくれてありがとう。(今はそう思うけど、この時は私一人で頑張った気でいました。)
ここまでは安産の私。
すっかり終わったと思っていたのに、大変なのはこの後だった…
お読みいただきありがとうございました。